カテゴリ
以前の記事
2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 その他のジャンル
最新の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
最近、母の誕生日に何かプレゼントしようと聞いてみたら、なぜか趣味用に新しいミシンが欲しいという。それで今どきミシンなんてまだあるのかな・・・と思いつつ調べてみると、最近のミシンってIT化が進んで凄いことになってるんですね。自動化されていろいろな縫い方が簡単にできるのはもちろん、イラストや画像データをダウンロードして読み込んで、キャラクターや写真をベースにした多彩な刺繍も変幻自在にできるらしい。知らないうちにコンピュータ化されて全く別のマシンになっていました。
ということで、すっかり刺繍ブーム?の今日この頃、タイミングよく目黒の東京都庭園美術館で刺繍アートをテーマにした展覧会が開催されているのを知って出掛けてきた。『Stitch by Stitch~針と糸で描くわたし』というタイトルのこの展覧会、刺繍というアプローチを使って現代アートを表現する8人の日本人作家を取り上げたものだが、これが実に素晴らしい。刺繍や手芸という言葉から連想される、女性的で平和的なイメージの既成概念を軽々と打ち破って、スリリングで驚きの体験を与えてくれるのだ。 また、服の装飾など外面的・表層的なデコレーションとしての刺繍のイメージに対して、村山留里子はオブジェ「奇麗の塊」シリーズで、人間の手や体のパーツの内部にまで入り込んだ美のイメージを生々しく表現しており、単なる美しさを超えた身体の変容の危うささえ感じさせる。 いっぽう、秋山さやかの作品では、「自分の訪れた場所の地図をプリントした布や紙に、歩いた跡を糸で辿り、縫い目の動きや糸の色、縫いとめられたものなどで行動と感情の動きを伝える」、というユニークなアプローチをとっている。ここでは糸の線はもはや静的で予定調和的なデザインではなく、見るものにとっても時間や運動の軌跡としてのダイナミズムを顕在化させ、いたるところが偶発性に満ちた表現の面白さを獲得している。 そして今回の展覧会の目玉の一つは、女優やタレントを動植物に見立てた作品集『美女採集』 でも知られる清川あさみの作品群だ。 ヌードの女性の写真に、刺繍を縫い付けることによって女性のコンプレックスを顕在化させた《Complex》シリーズ(写真はHair)では、針と糸で布を切り裂き、モチーフを侵食する刺繍の暴力的な表現に驚かされる。 いずれの作品も、刺繍ならではの線(ドローイング)の表現による微細で工芸的な美しさを持ちながら、大胆な空間の構成と分割によってスケールの大きな表現を実現しているところも見事で、最近東京で見た展覧会の中でも特に印象の強いものとなった。庭園美術館の緑溢れる風景も夏の晴れた日差しには一段と涼しく、都心より3度は低い居心地のよさを約束してくれるので、夏休みに心を刺激する美しいものに触れたくなったら、強力にお薦めのイベントです。
by keidd
| 2009-08-16 20:58
| 東京美術
|
ファン申請 |
||